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『赤朽葉家の伝説』桜庭一樹 [東京創元社]

鳥取を舞台にしたミステリーと言うことになっている。実際、日本推理作家協会賞を受賞しているが、ミステリーなのかというと、最後の方で、ほんの少しだけ、謎解きがあるだけで、本格ミステリー的な構成ではなく、むしろ、女三代記、あるいは実質的には一代記なのだが、そういった話である。戦後から現代までの製鉄業の企業とそれを経営する一家、そして、その地域の歴史が描かれている。この手の一代記としては非常にうまく出来ているが、歴史的な説明はやや、元ネタの影響が強い気もする。この人の作品は、田舎が舞台の場合、そこから脱出する話とそうでないのに分かれるが、これは脱出せずにやっていく話であるが、孫の代になると、他の話と同様に閉塞感が強まってくる。ただ、そこで終わってしまっているため、構成上は、一見、明るく終わっているようにも思えるが、実のところ、その先があると言うよりは、祖母の時代が終わったということであろう。この話の特徴としては、祖母が千里眼だったりと、ファンタジー的な要素があるのだが、そういった要素で話を締めくくると、 ストーリー上はきれいにまとまっているが、そこにすべてが回収されかねない面があり、微妙な点であろう。


タグ:桜庭一樹
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