『遠まわりする雛』米澤穂信 [角川書店(KADOKAWA)]
学園物のミステリー。古典部シリーズの四作目になる。今回は短編集で、雑誌に載せられた物が中心で、書き下ろしは一話のみである。ミステリーといっても、日常の謎系なので、派手な殺人事件などは起きないが、地味だけど、興味深い謎解きがある。短編集だからか、意外と、学園物的な面が強く、また、ラブコメ的な展開もそれなりに用意されている。ミステリーとしては、割とありがちではあるが、学園物ラブコメとしては、上手い。特に書き下ろしの「遠回りする雛」の出来は良く、続きを期待させる。地方が舞台の青春物としては、ここに留まるか、あるいはどこかへ出て行くかの分岐点が話の展開上、次に来そうであるが、それがラブコメ的な展開とも重なっており、続きが気になる所である。
コメント 0