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『ネメシスの虐笑S』+『ネメシスの虐笑G』小森健太朗 [講談社BOX]

高校で漫画部に入ることになった少年が主人公の話。ある意味、げんしけんなどにも近いタイプの話でもあるが、基本的には日常の謎系のミステリーである。十話構成なので、小ネタばかりであるが、途中で何故か、ノックスの十戒ならぬ美少女ゲームの戒律を考える話があったりする。この作者の趣味と言うことで、神智学や鈴木大拙の話も登場するが、最後の方では幸徳秋水と神智学の関係が考察されていたり、かなりごった煮的である。キャラクターもかなり、ライトノベル的で、割と強烈である。短編ばかりではあるが、それなりに楽しめる。しかし、全体を通しての謎が残るのだが、それは小説ではなくて、付録のノベルゲームで解決されるというちょっと変わった構成になっている。

こういった小説にゲームが付属するのは、他のレーベルでもあるが、そちらはそれぞれ別の話になっていた。しかし、こちらは、ゲームの方も同じところから出発して、途中から小説では描かれていない先の話が展開されるというちょっと変わった構成になっている。しかも、小説のネタの全部ではなく、一部がゲームにも収められていると言うことになっている。ゲームの方は、ミステリーというかサスペンス的なオーソドックスなノベルゲームになっている。ただ、ゲーム自体は実はマルチエンドでしかも、ちょっと癖のある構成であり、小説から先に読むと、ある意味で引っ掛かるかもしれない。

全体としては小説だけでなく、ゲームもセットになっているが、それぞれ単独では結構、印象は異なるだろう。その意味で両方合わせて評価すべきだが、ゲームをメインに考えれば、ミステリーとしてはちょっと肩透かしになるがそれでも、トゥルーエンド以外の個別の結末があるため、ギャルゲーとしても充分に面白い。小説の方は、それぞれの小ネタを楽しむべきであろうが、最後の話は歴史の解釈であって、これもかなり大胆な解釈を提示している。かなり、変わった構成のものであるが、ゲームも合わせれば、かなりのボリュームになっている。続きは、一応完結しているため、難しそうではあるが、小説の方は、まだ、書く余地はあるだろう。
タグ:小森健太朗
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