『闇の王』高橋ショウ [ジグザグノベルズ]
高校生がその母と共に、殺し屋として戦うガンアクション物。設定は、吉田親司の『記憶師』シリーズと非常によく似ていたりする。そちらの方は、二冊出ているが、こちらは、一冊に収めた感じもする。こちらの方が、有る意味では、癖もなく、読みやすい気もしないでもないが、それにしても、よく似ている物だ。
『ドンこい!』夏緑 [ジグザグノベルズ]
いきなり、異世界に召喚されて闘うことになる話。主人公は高校生の少年で、召喚したのは少女ということで、要するに『ゼロの使い魔』と同じパターンである。ラブコメ展開もあるし、ストーリーはこの手の話としては、オーソドックスである。ただ、主人公があまりにも鈍くさく設定されているので、テンポが今一だが、基本的にはコメディーになっている。一応、完結している。
『うぶこい~初恋成就戦争なんだからねッ!!』児玉新一郎、柴はすみ、わかつきひかる [ジグザグノベルズ]
ある少年を救うために、五人の少女が天使からお願いされて、少年にアタックするという話。と言うわけで、ヒロインは五人だが、作者は三人で、わかつきひかるだけ、一人を担当し、残りは二人ずつ担当している。わかつきは、エロライトノベルがメインだが、この三人の中では、一番キャリアがあるようで、やはり、ラブコメは上手い。他の二人も、結構、上手いのだが、もしかすると、別ペンネームの気もする。ただ、ヒロインが五人も出てくるので、誰かと、カップルになると言うわけではなく、五人全員にフラグが立ったところで終わっている感じで、何というか、ギャルゲーのプロローグみたいなものである。実際、キャラクターも割と、ギャルゲーなどではありがちな感じである。しかし、天使の存在が今一、必要ではないと言うことを除けば、全体としては、上手くできている。この手の企画物としては、成功しているだろう。
『アルカン年代記 風霊と舞う少年』秋津透 [ジグザグノベルズ]
刺客に追われる王子が、不思議な少年と出会ってという話。オーソドックスなファンタジー。これで完結している。きっちりと終わっているが、それなりに意外な結末にもなっている。この作者の作品の中では、ある意味で、癖がないけれども、逆に言えば、上手いけれども、ありがちなファンタジーになってしまっているとも言える。
『夏の悲歌』早見裕司 [ジグザグノベルズ]
神隠しのような現象を解決しようと中学生の少女が活躍する話。この手の伝奇物としては、途中で、大体の見当も付くくらい、非常にオーソドックスな話である。ジュブナイル物と言っても良い感じであるが、その理由は、事件の背景の社会的な説明がある意味では非常に単純化されており、ちょっと優等生的とも考えられるからである。とはいえ、きちんと完結している。
『バトルジャッジ』秋津透 [ジグザグノベルズ]
ロボットバトル物のSF。多少、設定は捻ってあって、裁判の代わりにロボットでバトルして決着を付けるバトルジャッジのファイターが主人公になっている。とはいえ、話自体は、非常にオーソドックスなロボット物。これで一応、完結しているが、そつなくまとめている。ただ、話の盛り上がりが中盤に来てしまい、最後の話はちょっと蛇足な気がしないでもない。とはいえ、この作者の作品としては、最近出た中では、面白く、調子が戻ってきたようだ。
ジグザグノベルズは買うのはこれが初めて。ラインナップも新人なのか、聞いたことのない人ばかりである。