『恋するタイムマシン 穂瑞沙羅華の課外活動』機本伸司 [ハルキ文庫]
ワームホールを使ったタイムマシン研究を阻止して欲しいという依頼が来ると言うところから始まる話。大体、いつもと似たような話だが、今回は久し振りに加速器に関する話である。ストーリーは余り予想が付かないが、上手くまとまっている。続きにも期待したい。
タグ:機本伸司 穂瑞沙羅華の課外活動
『神様のパラドックス 上下』機本伸司 [ハルキ文庫]
大学に入学した女子大生の主人公は、満たされない日々を送っていたが、コンピューターメーカーのアルバイトに応募して、量子コンピューターによる占い事業を手伝うことになるという話。SFとしては、意外とオーソドックスである。実は、『神様のパズル』のスピンオフで、そちらとも関係はある。ただし、この作品は元々、ハードカバーで出版されて、文庫落ちしたため、『神様のパズル』の直接の続編になる『パズルの軌跡』よりも後に文庫で出てしまっている。そちらとも、繋がりはあるが、こちらはスピンオフなので、どちらも読んでいなくても、楽しめるようになっている。上下なので、それなりに長いが、見掛けよりも、話は膨らむので、飽きさせない。これできっちりと完結している。
タグ:機本伸司 神様のパズルシリーズ
『パズルの軌跡 穂瑞沙羅華の課外活動』機本伸司 [ハルキ文庫]
『神様のパズル』の続編。今回は、天才美少女が探偵役で、変な事件に巻き込まれる話である。前作に比べると、一見、あまり、本格的なSFには見えないが、実はネタは異なるが、それなりに本格的である。しかも、前作とも意外な繋がりがあったりする。話はきちんと完結しているが、どうも、設定的には、この先、続編も出そうな雰囲気である。
『メシアの処方箋』機本伸司 [ハルキ文庫]
SF。古代の木簡から解読されたゲノム情報を元に、「新人類」らしきものを作ってみようという話。この手の話だと、バイオエシックス的に、作っても良いかどうか、結構、悩む描写とかありそうなのだが、そう言った所はほとんど無く、とにかく、イケイケで、作ってみようという話である。そう言う意味では、非常に割り切っているので、話はどんどん進む。オチは、ある意味で、しょうもないのだが、他方で、テクニカルなネタだけでなく、一種の宗教的な思索もそれなりに展開されている。やはり、この作者は、途中の展開はかなり上手い。
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『神様のパズル』機本伸司 [ハルキ文庫]
宇宙が作れるかどうかという壮大なテーマのSF。といっても、大学のゼミが舞台なので、実は大学物といっても良いかも知れない。テーマの割に、オチは微妙にすっきりしない所もあるが、そこまでのプロセスは非常に上手く構成されている。小松左京賞受賞作なので、これが第一作だが、新人とは思えない。尤も、これ自体は、文庫オチしたバージョンで初めて読んでいるのだが。SFと言っても、見掛けよりは、ハードSFではないだろう。むしろ、話の膨らませ方で勝負といった感じである。