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『ハムレット・シンドローム』樺山三英 [ガガガ文庫]

演劇中の事故以来、自分をハムレットだと言い続ける男の家に行き、劇中のローゼンクランツ役を演じることになった主人公の話。ハムレットが、主題の話で話の途中で、何が本当で何が嘘かが分からなくなるような構成になっている。しかも、そのまま、終わるのではなく、それなりの仕掛けもあり、意外性もある。この手の幻想的な話は、上手く構成しないと難しいのであるが、かなり、凝っているだけでなく、きっちりと計算されているようだ。一応はこのレーベルの跳訳シリーズに入るようで、久生十蘭の原作の翻案になっているようだ。とはいえ、原作を読んでいなくても充分に楽しめるようである。作者はSFの新人賞出身だが、こういうのも書けるようである。ライトノベルからは微妙にずれているが、筆力はあるし、次作にも期待出来そうである。
タグ:樺山三英
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