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『老ヴォールの惑星』小川一水 [ハヤカワJA]

 
SFの短編集。4篇収録されているが、SFマガジンに掲載されたのが2篇、書き下ろしが1篇、同人誌に掲載されたものの改訂版が1篇となっている。「ギャルナフカの迷宮」は既に同人板を読んでいたのだが、あまり変わっていない。ネタとしては一種のシミュレーション系と言うべきか。「老ヴォールの惑星」は、SFマガジン読者賞作であるが、やはり、ハードSFになっている。これはSFマガジンに読者にいかにも受けそうな感じであるが、SFネタだけでなく、ストーリーもしっかりしている。「幸せになる箱庭」は一種のヴァーチャルリアリティー物。ストーリーはそれなりに面白いけれど、最後のところで、現実と仮想との区別に関しては、上手く行っていない可能性もあるので、ネタとしてはどうなのだろうか。「漂った男」は書き下ろし。SFにこだわらなければ、これが一番面白いだろう。

この作者は、どうも長編よりも本当は短編の方が向いているのかもしれないな。というわけで、これからも短編集に期待したい。ただ、SFマガジンの読者層を獲るということは、実はSFとしては結構、オールドスタイルな訳で、安心して読めるけどという気がしないでもない。


タグ:小川一水
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