『二四〇九階の彼女』西村悠 [電撃文庫]
電撃hp短編小説賞を受賞しているようだ。と言うわけで、連作短編集になっている。話は塔の形をした積層都市が舞台で、主人公は海を目指して下へ降りていく。ある階層から脱出するには、鍵を探して、門に連れて行く必要があるという設定で、いくらでも、話を作れそうな感じである。SFとしては、割と良くある感じではあるが、一話毎に見れば、上手くまとまっている。実際、電撃hp誌に掲載されたときは面白かったのだが、全体としては、普通の出来のような気がするのはちょっと不思議だ。理由の一つは、人間じゃない相棒と旅をしていくという点で、『キノの旅』とも基本的には同じ構造だからだろう。『キノ』に比べると、あまり毒が無く、ストレートなのも、ありがち感を増しているのだろう。
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