『時砂の王』小川一水 [ハヤカワJA]
時間物のSF。異星人との戦いを過去に遡って行う話だが、3世紀の邪馬台国が舞台になっている。この手の時間物だと、タイムパラドックスが問題になる筈だが、分岐する時間軸ということで、どこか一つでも生き残ればOKといった感じで、上手く処理している。SFといっても、そういったSF的な仕掛けよりは、むしろ、迫り来る敵との戦いがメインである。 長編にしては割と短めだが、これで完結しており、話も非常にうまくまとまっている。この作者は、割と、青春物的な話になってしまいがちだが、かえって、そういった点がこの話では、逆にうまく生かされているようだ。話のほとんどは、3世紀なのだが、非常にスケールの大きい話になっており、良くできている。
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