SSブログ

『青銅の悲劇 瀕死の王』笠井潔 [講談社]

矢吹駆シリーズの第六作目というか、日本編の第一作目になる。(フランス編の六作目は、まだ、単行本になっていない。)矢吹駆シリーズというものの、駆は登場せず、ナディアが探偵役になる。その相方的な役は、宗像冬樹。1988年末の日本が舞台で、旧家で殺人事件が起きるという話である。今回もハードカバーで700ページを超えるが、やや冗長か。ミステリーとしては、今回はメタミステリー的趣向になっていたのにはちょっと驚いた。このシリーズは、思想ミステリーであっても、それほどはメタミステリー的ではなかったからである。思想の方は、1988年末というのは、まさに昭和の終わりであって、サブタイトルは昭和天皇を示している。時代的には、バブル期で、割と、細かくその時代が描かれている。考えてみたら、バブルと昭和の終わりは同時代であったわけだが、その時、高校生だったので、私にとっては、あまり関係ない物事のように思えるが、世代によっては、大きい意味を持つらしいと言うことはよく分かった。今回はやたら長いが、結局、駆というかナディアの話と、ある意味で作者の代わりである宗像の話と二つあるわけで、それを必ずしも上手く統合できていないのが原因だろう。日本について語るとなると、ナディアだけでは出来ないので、宗像を持ってこざるは得ないのだろうが。


日本編もそれなりに面白そうではあるが、それよりも、フランス編の単行本になっていないのと、『天啓』シリーズの第三作目を早く出して貰いたいところだ。
タグ:笠井潔
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。