『魔よりも黒くワガママに魔法少女は夢をみる』根木健太 [ファミ通文庫]
えんため大賞の特別賞受賞作。主人公の女子高生が、いきなり魔族の馬に出会って、無理矢理、魔法少女にさせられ、神魔の諍いに巻き込まれる話。魔法少女物のパロディーと言うべきジャンルだが、最近は、アニメでも『魔法少女まどか☆マギカ』のような話もあるわけで、ジャンルの解体というか見直しが進んでいるのだろう。考えてみれば、新本格ミステリーが登場した後、さらにミステリーとしての尖鋭化を推し進めてほとんど解体しているようなものもいくつか登場していたが、それに近いのかもしれない。小説でも、既に『アンチ・マジカル ~魔法少女禁止法~』といった物も現れているが、この本は『まどか』ほどラディカルでもない。しかし、魔法少女が正しいと言ったことに対しては相対化されており、また、契約の仕方もかなり強引である。全体としては上手くまとまっており、こめでぃー寄りで楽しめる。続きも充分に出せそうであるので、期待したい。
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