SSブログ

『南極点のピアピア動画』野尻抱介 [ハヤカワJA]

SFの連作短編集。ニコニコ動画ならぬピアピア動画と宇宙開発といったテーマの話になっている。割と長めの短編なので、ネタのみと言う感じでもない。やはり、非常に技術とかに関して楽観的であるが、そもそも、他の作品でもその点は同じである。最後は異星人まで出て来て、相変わらず、スケールがどんどん大きくなるタイプの話になっている。宇宙開発のところは、それなりにオーソドックスで、ニコ動や初音ミクネタをそれに絡めたのは特徴ではあるが、その点は好みは分かれるかもしれない。しかし、現実が知識経済というか、そういったもので動くようになってきている点を上手く捉えているとも考えられる。最近は非常に寡作だが、次の作品はどうなるのだろう。
タグ:野尻抱介
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

『展翅少女人形館』瑞智士記 [ハヤカワJA]

球体関節人形しか生まれなくなった世界で、奇跡的に生まれた少女達が隔離されている場所での話。SFというよりは、ファンタジーだろう。この作者は、割と、人形とか人体改造的なネタが好きなようであるが、これも他のレーベルでは書きにくい話ではある。設定も興味深いが、これ位ぶっ飛んだ設定ははSF的としか言いようがないのも確かである。ただ、主人公の少女達は、確かに最初は人間であるのだが、キャラクターの設定的には、どうも、『ローゼンメイデン』を思わせるようなところもある。特にフローリカはイメージ的には蒼星石のような気もするがどうなのだろう。しかし、そうだとしたら、『ローゼンメイデン』のアリス・ドールは人形であるが、こちらは一応は人間であるわけで、その意味で結末も当初から暗示されているとも考えられる。全体としては、独特の雰囲気があって、かなり、好みは分かれそうである。きっちりとまとまっており、続きは出なさそうである。
タグ:瑞智士記
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

『約束の方舟 上下』瀬尾つかさ [ハヤカワJA]

恒星間移民船を舞台にしたSF。主人公の少年が12歳の時から話が始まるので、微妙にジュブナイル物の香りもするが、SFとしてはかなり本格的である。ベガーと呼ばれるゼリー状生命体が突如出現し、戦いが終わって和解した後の時期が描かれているが、世代間の対立など、かなりポリティカルな側面も強調されている。全体としてのネタは、この作者の他の作品とも微妙に繋がっているようである。ストーリーは上手くまとまっているが、最後はハッピーエンドになっている。狂気を孕んだというか、異能のヒロインというのは、この作者の作品にはしばしば登場するが、そのせいか、割とバッドエンド気味の作品が多い。しかし、ここではそうでもないのは、途中でヒロインが交代するからだろう。これで完結している。元々、SF寄りの話を書いていたが、ライトノベル出身の作家の中では、SF向きなのだろう。
タグ:瀬尾つかさ
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

『クォンタムデビルサーガ アバタールチューナーI』五代ゆう [ハヤカワJA]

荒廃した世界で、六つのとライブが闘いを続けていたが、ある時主人公の少年が謎の少女と出会うところから始まる話。基本的には、戦闘がメインである。設定はかなり凝っているようだが、全五冊の予定なので、全貌は窺えない感じである。ストーリーの展開も速いが、密度も濃く、あっという間に読ませてしまう。割とファンタジー的でもあり、この作者の初期の作品を思わせるところもある。続きに期待したい。
タグ:五代ゆう
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

『セドナ、鎮まりてあれかし』泉和良 [ハヤカワJA]

大戦の激戦地だった小惑星セドナには、多数の遺骨が眠っており、そこに赴任することになった主人公と老人、旧型アンドロイドの話。ある意味、地味な話で、鎮魂をテーマとしているが、ポリティカルなメッセージは、意図してかは分からないが、なかなか微妙な感じもする。きっちりと完結しており、話の作りは上手い。

ハヤカワJAでは、若手の作家の作品を最近、いくつか出しているが、SFが掛ける作家が思ったよりもいると言うことが分かったという点で興味深い。ただ、必ずしも、上手く行っているわけでもないのだが、その内、面白い作品が出てくるのだろう。
タグ:泉和良
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

『不動カリンは一切動ぜず』森田季節 [ハヤカワJA]

全ての子どもが人工授精で誕生し、手のひらに埋め込まれたノードで情報や思念を交換する世界の話。主人公の少女達がある事件を調査することによって、大きな陰謀と家庭の事情に巻き込まれていくというストーリーになっている。設定は確かにSFで相当凝っているのだが、後半の方は、ファンタジー的になっていて、ハードSF的な物を期待していると裏切られることになる。しかし、ファンタジー的な部分は、神戸近辺を舞台にして、そのローカルな物を参照しているため、むしろ、万城目学とか森見登美彦などにも結構、近い感じがする。ただし、そういう部分はあっても、また、かなり話はエグい面もあるのだが、やはり、ライトノベル的であるのは確かである。非常に色々な物が盛り込まれているため、やや、消化不良気味な気もするが、きっちりと完結している。
タグ:森田季節
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

『機忍兵零牙』月村了衛 [ハヤカワJA]

別の世界からの征服者と戦い続ける忍が主人公の話。ひたすら戦闘シーンが続く話だが、割と、スピード感もあり、読みやすい。話は完結している。このレーベルで出るとはちょっと意外な感じもする。前作は、パワードスーツを導入した警察物だったので、こういう話を次に書くのはやや意外でもあるが、こちらの方が映像的である。
タグ:月村了衛
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

『スワロウテイル人口少女販売処』籐真千歳 [ハヤカワJA]

<種のアポトーシス>に感染した感染者は男女別の自治区に隔離され、人口妖精と暮らしているという設定の話。そこで連続殺人事件が起き、主人公は、人口妖精と共に調査するというストーリーになっている。その結果、自治区の存亡に関わる事態に発展するという展開で、思ったよりも、雰囲気的には、陰謀物というか、アクション物的になっている。SFとしては、設定が若干、微妙な気もするが、展開は速く、上手くまとまっている。前作の『θ 11番ホームの妖精』は、設定がかなりポリティカルであったが、これも、また別な意味で、ポリティカルというか、社会的なものがテーマの一つとなっている。
タグ:籐真千歳
nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

『星の舞台からみてる』木本雅彦 [ハヤカワJA]

顧客の死後処理を行う会社に勤務する女性が、創業メンバーの死後処理において、その人の人生を追うことになる話。ネット上のエージェントなども登場し、SFとしては、かなり細かい話になっている。ネットワークやコンピューターに関する知識がないと少し分かりにくいかもしれない。とはいえ、ストーリーは上手く構成されており、きっちりとまとまっている。内容的にはこれで完結している。この作者はライトノベルでデビューしているが、割とジュブナイル風の作品で、微妙に向いていなさそうな気がしたが、やはり、こういったオーソドックスなSFの方が向いているようである。ネットワークが主なテーマにはなっているが、宇宙との関係も描かれており、そういった意味でも、実は見掛けよりハードSF的でもある。
タグ:木本雅彦
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

『機龍警察』月村了衛 [ハヤカワJA]

パワードスーツの登場する警察系特殊部隊物のSF。こう書くと、同じレーベルの榊一郎の『ザ・ジャグル』と同じに見えるが、こちらは近未来の日本が舞台になっていて、警察物的である。この手のSF的警察物というのは、『攻殻機動隊』当たりから、割と地味に流行っている気がする。非常に上手くまとまっている。これで完結しているが、続きも出せそうな話になっている。作者は元々、アニメの脚本家だが、これも、もしかすると、アニメの没企画が元のような気もする。実際、予算の関係なのか、ロボットアニメは最近、少なめである。



nice!(1)  コメント(2)  トラックバック(1) 
共通テーマ:

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。